経営者なら知っておきたい、新渡戸稲造の武士道精神!
こんにちは!
大和ごころ普及協会、代表の加納聖士です。
最近は「国際化」という言葉がよくテレビや雑誌、新聞で使われていますが、私はその言葉を聞くたびに新渡戸稲造のことを思い出します。
新渡戸稲造は五千円札で有名ですが、実際に彼がどんなことをしたのか詳しく知っている経営者は少ないと思います。
新渡戸は小さいときから「大平洋のかけ橋になりたい」という夢を持って、その夢を実現させるために努力し、明治時代後半から第二次世界大戦の前にかけて活躍した人物です。
彼は国際人、有能な官僚、学者、教育者、日本人の精神的な指導者などさまざまな顔を持っています。
今回は多くの経営者の方に、新渡戸稲造という人物をよく知っていただきたく彼の功績をまとめました。
ぜひ事業運営や従業員教育のヒントとして頂けたらと思います。
目次
日本人の大和魂を世界に発信し続けた男
新渡戸稲造という人は一体どんな人物だったのでしょうか?
新渡戸を簡単に紹介します。
新渡戸は1862年、盛岡藩士の三男として生まれました。
キリスト教徒となって海外留学を経験し、札幌農学校、台湾総督府、一高校長、国際連盟事務次長などを歴任した教育家であり、新生日本の代表者として活躍した人物です。
このように新渡戸は、日本人として初めて国際連盟事務次長となった人物ですが、彼を語るうえでは国際連盟事務次長というよりも、「日本人の大和魂を世界に発信し続けた人物だった」と言った方がしっくりきます。
私が経営コンサルタントとして、大和ごころをブログにて発信していきたいと思ったことも、新渡戸稲造の影響からです。
今あらためて日本の「武士道」精神を学ぼう!
新渡戸が『武士道』を刊行することになった動機については、彼の本『武士道』の序文にこう書かれています。
1889年頃、ベルギーの法学者・ラヴレー氏の家で歓待を受けているときに宗教の話題になった。
ラヴレー氏に“あなたがたの学校には宗教教育というものがないのですか?”と尋ねられ、ないと答えると“宗教なしで、いったいどのようにして子孫に道徳教育を授けるのですか?”と繰り返された。
私はその質問に愕然とし、即答できなかった。
新渡戸はその問いの答えを考え抜き、約10年後に「武士道という道徳教育」に行き着いたのです。
新渡戸の「武士道」の本には、必ずしも実際の武士道の歴史や実態を正確に伝えてはいませんが、まさに日本人の精神、大和魂のことについて外国人でもわかるように丁寧に描かれています。
武士道は知識を重んじるものではない。
重んずるものは行動である。
新渡戸は武士道のことを「知識ではなく、実践を求めるもの」と定義づけています。
これは私の尊敬する吉田松陰と同じです。
詳しくはこちら
人材育成の達人!吉田松陰の人づくり12の方法
100年以上前に新渡戸が答えを出した「武士道」という精神は、今のリーダー不足と言われるビジネス界において改めて学びなおす必要があります。
ちなみに、グロービス経営大学院では、必修科目である”企業家リーダーシップのコース”で、新渡戸稲造の『武士道』と内村鑑三の『代表的日本人』を読むことが義務付けられています。
なぜ実践的なMBA(経営学修士)を教える大学院で、彼らの著書が必修科目になっているのでしょうか?
それは今の日本の学生たちに「真のリーダーとは何か?」を考えさせなければならないからです。
新渡戸稲造の「武士道」
新渡戸が「武士道」を刊行したのはちょうど1900年です。
この年は日清戦争と日露戦争の間、日英同盟締結の2年前、日本という新興国が世界の桧舞台に現れ、海外にその名を馳せた時期でした。
世界中が突如現れた得体の知れない日本と日本人に対して「一体何者だ?」と「?」を持っていた時代に、新渡戸は「日本人とは何か」ということを『武士道』というタイトルの本にまとめ、一気に世界的ベストセラーになりました。
感銘を受けたアメリカのセオドア・ルーズベルト大統領は子供たちに『武士道』を読むように薦めたほどです。
新渡戸の『武士道』は言うまでもなく、武士道に象徴される日本人の生き方と考え方を紹介しています。
新渡戸の語る武士道とは、「儒教」と「仏教」の長所を継承し、義、勇、仁、礼、誠と名誉を深く重んじた身分に伴う義務だと言っています。
その中でも特に大事なものは、義と勇であり、周りに流されずに正義を守る勇気を持つ者こそが、真の武士だと記しています。
そして武士が目指すべき究極の目標として、「忠義」をあげています。
新渡戸は、忠義を守ることによって名誉を得ることが、武士の到達点だと言っています。
つまり武士にとって、忠義とは他人から強制されるものではなく、自己実現のあり方なのです。
個人主義ではなく忠義を重んじ、主君、国家、社会を個より上位に置く思想は、権利を主張して義務をはたさない現在の日本人が忘れた尊い精神なのです。
武士道精神=道徳精神
新渡戸は100年前に「武士道こそ道徳精神だ!」と世界に発信しました。
新渡戸の述べる武士道精神は、仁、義、礼、智、信、忠、誠に基づいており、武士だけなく女性にも子供にも万人に与えられる精神であり、この精神の中で人を区別・差別する事はないと記しています。
西洋にも「礼を尽くす」といったお辞儀する習慣がありますが、これは貴族間で振舞う行為です。
また西洋は外界に対して、美しさをアピールするのに対して、日本の武士道・美は、「自己規律の精神」であり、外界に見せびらかすものではありません。
▼「仁」は情けを表し、たとえ敵でも相手に情けをかけること
▼「義」はフェアプレイを表し、たとえ勝負に勝っても不正行為で勝ちえた勝利は賞賛しないこと
▼「礼」は他人に対する思いやりを表し、相手に見える形で表現すること
▼「智」は物事の本質を見極め、常に切磋琢磨し、より良い手法を得ようとすること
▼「信」とは信じる強さ・信頼を表し、日本では契約という概念なく、口約束で十分事足りたこと
▼「忠」は自発的忠誠心を表し、これは強制されるものではないこと
▼「誠」は言+成=言った事を成すといった意味があり、一度でも口にしたことは命がけで守り、守れなければ死をもって償うということ
このように武士道とは、人が人として美しく生きる姿勢にあり、見せかけだけのパフォーマンスではないのです。
サムライの基本となる「武士道精神」とは人が人として生きる道を説いています。
これこそ、これからの企業の人財教育に必要な軸になるのです。
GHQの占領政策で、精神面も武装解除された
大東亜戦争の敗戦後、日本は連合国によって軍事的に武装解除され、さらにGHQの占領政策によって、精神面も武装解除されました。
GHQは「武士道」に関する書籍や映画等を禁じ、「西郷隆盛」に関する本すら出版させませんでした。
私は経営者こそ、新渡戸稲造の『武士道』や西郷隆盛の『南洲翁遺訓』は読んでいただきたいです。
なぜならこれらの本には日本人が理想とする真のリーダーのあり方が書かれているからです。
なぜGHQが『武士道』や「西郷隆盛」に関する本を出版させなかったのでしょうか?
それはアメリカの脅威になる真のリーダーが育つのが怖かったからです。
今の日本企業の幹部教育に足りないのはあきらかに人が人として生きる道を説く教育です。
なぜなら、たとえ社員が1万人いる会社であっても、たった1人の起こした不祥事で経営ができなくなる、 会社の信用が地に堕ちて存続が難しくなる、そのような時代だからです。
つまり「100-1=99」ではなく「100-1=0」、もっと大げさにいえば「10000–1=0」になる時代なのです。
そういった怖さを経営者が直感的に感じているから、いま社員に「コンプライアンス」を徹底させたり、企業倫理を教えたりしているのです。
私は日本の次世代を支える若い企業リーダーこそ、「武士道精神」を教える必要があると思います。
日本人に宿る武士道精神
日本人のDNAには今でも武士道精神が老若男女に宿っています。
東日本大震災の時、被災者の方が整然と並んで配給を待ち、暴動などが一切起こりませんでした。
下記の画像をみてください。
震災直後の停電しているコンビニを前にして、寒さや怖さや不安さを乗り越えて、整然と並んで順番を待っているのです。
この日本人としては当たり前の行為を世界中からおしみない賞賛が集まりました。
これこそ日本社会に脈々と息づいている「武士道精神」なのです。
あとはキッカケだと思います。
今を生きる私たちは先祖から流れる大和ごころを後世に継承していかなければなりません。
それは政治家や教師に任せるのではなく、経営者から発信していって欲しいのです。
まとめ
私は実践経営の場をもって、「武士道精神」を社員たちに教えてほしいと思います。
前述したグロービス経営大学院では『武士道』と『代表的日本人』を学生たちに読むことを義務付けています。
それは経営能力の体系的な修得のみならず、「創造と変革」を担うビジネスリーダーにふさわしい「人間力」と「志」を育むことに力を入れているからです。
これからの時代、従業員たちの「人間力」と「志」の醸成は企業成長の肝となるでしょう!
私は個人店の多店舗展開に必要な軸は「人づくり」と「仕組みづくり」だと思っています。
この「人づくり」とは、まさに「武士道精神」を中心とした人が人として生きる道を説く教育です。
仕事と人生は切っても切り離せないものです。
だからこそ人間性を高めるために仕事をしていきましょう。
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